「弁理士は就職できない」というのは本当?

「弁理士は就職できない」というのは本当?

2020/09/01

弁理士 就職

「弁護士や司法書士と比べて弁理士は就職できない」という声を聞きます。弁理士試験の合格率は6%~8%で、旧制度の司法試験(2%~3%)ほどではありませんが、公認会計士(約10%)と比較してもかなりの難関資格だということがわかります。 本当に弁理士資格は就職につながりにくいのでしょうか。


「弁理士が就職できない」は本当?

「弁理士が就職できない」といわれるのは、弁理士資格を有する人の年齢層と関係がありそうです。 2020年3月31日の「日本弁理士会会員の分布状況」によると、弁理士資格を有する人は以下のような年齢構成になっています。

年齢 人数 割合
20以上〜25歳未満 4 0.0%
25以上〜30歳未満 52 0.5%
30以上〜35歳未満 368 3.2%
35以上〜40歳未満 1,147 10.0%
40以上〜45歳未満 2,110 18.4%
45以上〜50歳未満 2,258 19.7%
50以上〜55歳未満 1,574 13.7%
55以上〜60歳未満 1,205 10.5%
60以上〜65歳未満 840 7.3%
65以上〜70歳未満 661 5.8%
70以上〜75歳未満 606 5.3%
75以上〜80歳未満 359 3.1%
80以上〜85歳未満 157 1.4%
85以上〜90歳未満 78 0.7%
90歳以上 41 0.4%

この統計によると、40歳以上が85%を超える割合になっています。会社員の転職市場でも、40歳以上は枠が少なく、狭き門になっています。
弁理士の場合も同様で、「弁理士」として転職しようと思っても、それまで別の仕事をしていた場合、希少な若い年齢の弁理士とポストを争っても勝てません。弁理士としてのポテンシャル採用ならば、人数が少なく将来性もある20代~30代の人が優遇されます。

つまり、40代以上の「ペーパー弁理士」(資格はあるが実務経験がない人)は就職、転職に不利であり、そうならないためには、弁理士としての「実務経験」があることが重要になります。ちなみに、弁護士の場合、法科大学院や新司法試験などもあり、20代~30台が40%程度いるので、弁理士とは年齢構成がまったく異なっています。むしろ若手に仕事がないのが弁護士です。

20代~30代の弁理士:将来性と希少性から実務経験が浅くても就職に有利
40歳以上の弁理士:実務経験がないとライバルが多い

という現実を理解しておきましょう。実務経験とは、実際に特許や実用新案等を出願した経験や、特許事務所で働いた経験を指します。単に「社会人経験」ではないので注意してください(もちろん社会人経験がない40代以上の弁理士は不利になります)。

・年齢が若い方が有利
・実務経験がある方が有利
・「ペーパー弁理士」は不利
となります。

弁理士の就職先と求められる実務経験

弁理士として就職、転職する場合どのような職場でどのような実務経験が求められるのかまとめてみました。

特許事務所

実際に特許の申請をしたことがある人、特許以外の知的財産、意匠や実用新案、商標などを特許庁へ出願したことがある人は即戦力として優遇されます。 特許事務所では、弁理士法が規定する業務のうち「特許・意匠・商標などの出願に関する特許庁への手続きについての代理業務」を中心に行い、訴訟関係などは副次的な業務になります(そちらは主に弁護士事務所の仕事になります)。
担当弁理士として知的財産業務に従事し、年俸制で働くことが多いです。経験を積めばヘッドハンティングなどを受けることもあるでしょう。

メーカーの法務知的財産部

企業の社員として、自社の知的財産関連の業務を行います。自社の知的財産について特許庁への申請も一手に引き受けるほか、弁護士資格を持つ社員(社内弁護士)と協力して、自社の知的財産権が侵害されないようにチェックをしていき、場合によっては訴訟を起こすときのサポートをします。

専門的な部署ではありますが、社員ですので、特許事務所で行うような仕事以外の雑務やマネジメント業務を行う可能性もありますし、他の部署へ異動となる可能性もゼロではありません。 特許等の出願経験も重要ですが、会社員としての就職、転職になるので、まったく社会人経験がない30代以上の方は難しいかもしれません。

逆に「ペーパー弁理士」でも前職の職務経歴が加点要素になるならば、優遇されることがあります。どういう人材が欲しいのかはそのメーカー次第で、「弁理士実務のスペシャリスト」が欲しいのか「会社員経験が豊富でマネジメントや他のスキルもあるゼネラリスト」が欲しいのかで就職、転職難易度は異なります。

身分は安定し雇用も維持されます。年俸制ではなく月給制の場合もありますが、弁理士としての「資格手当」などの上乗せもあり、収入面で不安になることは少ないでしょう。歩合給ではなく固定給なのはポイントが高いといえます。

独立開業

弁理士はサムライ資格ですので、独立開業することもできます。しかし、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士などよりも、知財関係は一般の方からはなじみがない分野であり、弁理士に依頼をすることはほとんどありません。

つまり、独立開業しても特許事務所のように企業のクライアントを獲得することが不可欠で、そのための営業活動などにも力を入れる必要があります。 理系出身で、工学修士や理学修士を持っている人は差別化できますが、文系出身で弁理士を取得した人は、なかなか強みをアピールしにくいのが現実です。

まず特許事務所や企業弁理士としてクライアントやメーカーとのコネクションを作らないと、独立開業してもやっていくのはなかなか大変です。税理士や公認会計士のように、地域の中小企業からのニーズもないので、「席」は少ないと考えるべきです。

他の資格を取り「合わせ技」での独立開業も検討してみるとよいでしょう。例えば「弁理士兼司法書士」であれば様々な公的書類を引き受けることができるポジティブな印象をクライアントに与えられます。

文系弁理士の就職は難しい?

弁理士では民法を選択し文系受験をする人が2割、残りは理系科目を選択する傾向にあります。「理系+弁理士」ならば、弁理士がマイナス要素にはまずなりません。メーカーや研究開発などに就職して、そこで働いていく中で、弁理士としてのスキルをアピールしていけばいいはずです。

文系の場合、職場によっては弁理士を評価しないところもあります。資格として評価され、知財関連の業務を行いたい方は転職エージェントを利用することで、少しでも弁理士を加点評価する会社とマッチングできます。どの会社が評価するのは自分ではわかりにくいため、ここはエージェントの力を借りましょう。MS Agentでも、専任のアドバイザーが、求職者の希望に沿った求人をご紹介させていただきます。

まとめ

弁理士は40歳以上が圧倒的に多く、他の専門資格とは少々年齢構成が異なります。20代~30代の方であれば、実務経験がなくてもポテンシャルで就職、転職できますが、40代以上の方は、実際に特許の出願などを行った実務経験が重視されます。
特許事務所の場合、実務経験が何よりも重要で、そこに自信がない人は、社会人経験や他のスキルも合わせてメーカーなど企業の知的財産部門を目指しましょう。 独立開業はコネクションがないとなかなか厳しく、他の資格以上に一般の方にはなじみがない仕事であることは意識してください。

<参考>
日本弁理士会「会員分布状況」

会員登録がまだの方

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。
適職とのマッチングを第一に考え、
マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。

求人をお探しの方

法務・弁護士・弁理士等、法律領域トップクラスの転職サポート実績。企業法務や法律事務所、特許事務所の求人情報が豊富に掲載されています。

登録はお済みですか?

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。適職とのマッチングを第一に考え、マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。