「今どきの弁護士は、あえて会社員になっている!」企業内弁護士が増加している理由とは?

「今どきの弁護士は、あえて会社員になっている!」企業内弁護士が増加している理由とは?

2016/01/15

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企業内弁護士の増え方が尋常ではない

日本組織内弁護士協会の統計によると、全国の企業内弁護士数は2001年9月の段階でわずか66名であったのに対し、約5年後の2006年6月には2倍以上の146名へと増加しました。さらに、直近の2015年6月には1442名へと、およそ14年間で20倍以上に膨れ上がっています。

※日本組織内弁護士協会「企業内弁護士数の推移(2001年~2015年)」
http://jila.jp/material/index.html

今回は企業内弁護士が増えた理由について、司法制度改革という枠組みの問題からではなく、現実的な弁護士の方々の「転職時の選択」にフォーカスを当てて、その理由を突き詰めていこうと思います。

「働きすぎ!」大手法律事務所の現実

弁護士が働く法律事務所にも様々な特徴があります。中でも、大手企業等をクライアントに抱える大手法律事務所では、初任給が1000万円を超える事も珍しくありません。そんな「高給取り」として人も羨む存在の大手法律事務所に所属する弁護士。しかし、その労働実態は過酷であるケースが往々にしてあります。

■あるカウンセリング時の会話
転職カウンセラー:「今回の転職活動ですが、次の職場での残業時間はどれぐらいの範囲まで許容できますか?」

相談者(弁護士):「今までは9時~5時で働いていたので辛かったです。朝の9時には事務所に行くのですが、自宅に帰ることができるのは夕方ではなく朝の5時です。シャワーを浴びたら仮眠をとって、直ぐに家を出る感じですね。終電で自宅に帰ることができれば。」

業界用語でもある9時~5時勤務。若いうちは頑張れても、段々と体が厳しくなってくるようです。

厳しい競争である「パートナー」への道

大手企業をクライアントに抱える法律事務所では、アソシエイト→シニア→パートナーという段階を踏んで昇格をしていきます。そして、パートナーになると、独立採算的な考え方が導入され、基本的に企業からの案件を自分の裁量で実行していくので、事務所の運営経費、アソシエイトや事務員の人件費等を負担するものの、所得は自分次第でいくらでも稼げる青天井となっていきます。

ただしこのパートナーになるためには、それなりの「利益」を事務所にもたらしている必要があり、長く勤めていても全員がパートナーへと昇格できるわけではないのです。また、パートナーになると、待っていれば仕事が回ってくる状態ではなくなりますので、営業活動を行う必要性も出てきます。

大手法律事務所では、M&A等の大型のディールを扱う為に、弁護士の人数が必要になってきており、「作業者」としての若手弁護士も大量に抱えています。作業者として優秀である弁護士が、営業として優秀であるとは限りません。よって、パートナーに昇格できない弁護士は、下からの突き上げを感じながらシニアのまま勤務し続けるか、外の事務所へ転職するという選択に迫られるのです。

「法律事務所・インハウス」の人気度調査

法律事務所の弁護士採用や、企業内法務部門の採用において国内トップクラスの紹介実績があるMS-Japanでは、転職をお考えの弁護士(司法修習生を除く)の方々に向けて、転職の相談を承るカウンセリング時に、希望進路に関するアンケートを実施しています。

実施期間:2009年1月26日~2015年12月27日

アンケート対象者:845名(いずれも日本国内資格の弁護士で新人を除く)

有効回答総数:785件
     126名・・・法律事務所のみ希望
     241名・・・法律事務所・インハウス(企業内)のどちらも希望
     418名・・・インハウスのみ希望

上記のアンケート結果からすると、785人のうち418人、おおよそ53.2%の弁護士が、転職時に法律事務所を希望進路から外して、インハウスだけを希望していることがわかります。

ワークライフバランスと、所得と、やりがいと・・・。

特に女性の弁護士については、インハウスの希望となる割合が多く、265名のうち165名、すなわち62.3%の方が、法律事務所を希望進路から外してインハウスのみを希望しています。これは、結婚や出産・育児等のライフイベントが大きく影響していると見られ、法律事務所では自分がいない間に、良いクライアントを他の弁護士に取られてしまう可能性もあることから、産後3か月程度で職場復帰するケースも稀ではありません。

ただし、出産や育児となると、夫や両親等の全面的なサポートが無いとワークライフバランスを維持できず、復帰する前に悩んで企業への転職活動を開始する人も多くなっています。一方で、如何に弁護士といえども企業内で働くからには会社の就業規則や賃金規程に準じて働くわけですから、一部の大手総合商社に転職する場合や、大手金融機関における専門職に転職する場合除き、企業の法務部へ転職する際には年収が他の社員と同様になることも理解しておく必要があり、その結果は以下のアンケートにも反映されています。

■弁護士の現在年収と希望年収
調査対象:2014年12月1日から2015年11月30日までの一年間で、MS‐Japanの転職支援サービスを利用して法律事務所から企業内へ転職した弁護士のうちアンケートに回答した26名

   平均年齢:32.8歳(下限27歳 上限39歳)
   平均現在年収:722.7万円(下限値400万円 上限値1360万円)
   平均希望年収:574.6万円

そして最後に、インハウスで働く「やりがい」についてですが、こればかりは人それぞれです。ただし、法律事務所で働く弁護士と、企業内で働く弁護士の大きな違いは、第三者であるかどうかです。法律事務所では第三者的な立ち位置からアドバイスやリーガルサービスを提供しますが、企業内の法務部員は自社の案件に対して、自らが会社の看板を背負って業務を実行します。個人の相談を受けるような弁護士業務はなくなりますが、より深く企業法務に携わるチャンスがあるといえます。以上から、企業の経済活動に興味を持っている弁護士の方で、あまり年収に拘りが無く、ワークライフバランスを保ちたい方であれば、インハウスの弁護士はお勧めのキャリアといえるでしょう。

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(文/株式会社MS-Japan 取締役 藤江眞之)

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