法科大学院修了(卒業)後のキャリアとは?司法試験の合否別に比較

更新日:2023/11/02
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法科大学院修了(卒業)後のキャリアとは?司法試験の合否別に比較

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法科大学院修了(卒業)後のキャリアとは?司法試験の合否別に比較法科大学院を修了(卒業)すると、法曹への登竜門である司法試験の受験資格を得ることができます。
では、司法試験にチャレンジした後、どのようなキャリアを描くことができるでしょうか。
合格したケース合格できなかったケース、それぞれの場合に分けて検討します。

司法試験に合格した場合

法科大学院を修了(卒業)し、司法試験に合格すると晴れて司法修習生となり、座学や現場で法律実務家の世界をより深く知ることができ、先輩や同期の人脈が拡がっていくことでしょう。
修習を終えると、修習生の多くは弁護士になりますが、裁判官や検察官を志望して任官する人もいます。中には先輩の判事や検事からスカウトされる修習生もいます。

弁護士を志望するならば、キャリアパスは大きく以下の3つに分かれます。

1. 法律事務所への就職
2. 一般企業などに就職する組織内弁護士(インハウスローヤー)
3. 最初から事務所を立ち上げて独立開業(即独)

1. 法律事務所への就職

知り合いのボス弁(法律事務所の代表弁護士)に引き上げられて、法律事務所の一員として迎え入れられることもあるでしょう。
ただ、一般的に法律事務所に就職するためには、求人に応募して採用面接などを受けて、その審査にパスするのが王道です。
法律事務所に勤務する弁護士を、アソシエイトイソ弁(居候弁護士)などと呼びます。
ただ、アソシエイト・イソ弁は職務経験が足りないだけであり、単なる労働者とは異なる場合もあります。
司法修習や司法試験の難関をくぐり抜けた者として、事件処理に関してある程度の裁量的な判断が可能ですし、先輩弁護士と対等に意見を交わすことができます。

一方で、法律事務所に籍は置いてあるものの、オフィスの一角に机と椅子といった居場所を置かせてもらっている程度であり、基本的には経費を自己負担し、独立した個人事業主として働いている弁護士を、ノキ弁(軒先弁護士)といいます。
ノキ弁であれば、形式的には独立した弁護士ではあっても、事務所の名前・看板の下で仕事をさせてもらえるので、いきなり独立開業するよりも、社会的な信用を得やすくなります。
ただし、まったくの自己責任ではありません。不祥事を起こしたり、事務所の看板を傷つけたりするような失態をした場合には、事務所から追い出されてしまうおそれがありますので、クライアントなどとの対話や言動には十分配慮すべきです。

2. 一般企業などに就職する組織内弁護士(インハウスローヤー)

インハウスローヤーを目指す場合は、法律に関する専門知識もさることながら、それ以上に組織内での協調性やチームワークを重視できる人物であることが求められる傾向にあります。
また、収入面や正社員という社会的身分の上でも安定します。
ただし、常に組織の利益を第一に考え、行動しなければなりませんし、企業法務・労働問題など、法律家として関わるジャンルや視点に偏りが生じることもありえます。

3. 最初から事務所を立ち上げて独立開業(即独)

そして、即独です。法科大学院卒業、修習を経て、即独をする新人弁護士の成功率は決して高くありません。
少なくとも、「就職が上手くいかなさそうだから、独立でもしようか」という考えでは、到底うまくいかないでしょう。
クライアントになりそうな人々と、実際にもインターネット上でも繋がれるような人脈を構築しつつ、金融機関への融資申込みや事務所となる部屋の選定、機材の調達など、就職活動の片手間では十分にできない事前準備がたくさんあることを覚悟しておく必要があります。
即独の新人弁護士は、百戦錬磨のベテラン弁護士よりも自分を選んでもらう理由を見出してもらわなければならないのですから、一筋縄ではいきません。

また、わずかではありますが、法科大学院修了(卒業)・司法試験合格後に、司法修習を受けないまま、あるいは修習を終えた後、法曹三者の道を選ばずに、あえて一般企業への就職を選択する人もいます。
司法試験に合格したからといって、必ず法律実務家にならなければならない義務はありません。
各自にとってふさわしいと考えた人生のタイミングで、法曹の道へ改めてハンドルを切ることもできるのです。
また、法律知識が豊富な法科大学院修了(卒業)生を高く評価し、積極的に採用する企業も少なくありません。

司法試験に合格できなかった場合

法科大学院を修了(卒業)したものの、その次の司法試験には受験制限があります。 5年間のうちに合格できなければ受験資格を失ってしまうのです。司法試験に合格できなければ、再度法科大学院を修了(卒業)するか、予備試験に合格しなければ、残念ながら法曹三者になる資格を得ることはできません。
だからといって絶望する必要はなく、別の道を切り拓いていく選択肢もあります。

司法試験に最終合格できなくても、ある程度優秀な成績を修めていれば、それをアピールポイントにして、企業の法務部などへの就職を目指すことができます。
もっといえば、法務部にこだわらずに、まったく別ジャンルの部署にチャレンジするのもひとつの方法です。
法律のことをほとんど知らない従業員ばかりの部署に、司法試験経験者が関わることができれば、その希少性が重宝されることもあります。
その部署にとって、法的な素養が加われば現状が改善していく根拠などを面接でアピールできると有効です。


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まとめ

法科大学院を修了(卒業)し、司法試験に合格すれば、弁護士・裁判官・検察官になる道が開けますので、キャリアの選択肢は増えます。
不合格の場合は、この法曹三者になる道が絶たれてしまいますが、選択肢がたった3つ減ったというような、時には気持ちの切り替えをすることも大事なのではないかと思います。

司法試験に合格できなかったとしても、法科大学院で学び、卒業に向けて勉学に励み、難しい試験にチャレンジし、努力を続けてきたガッツや集中力は他の人が当たり前に持ち合わせているものではありません。
そのような強みをアピールできれば、次の進路は必ず見つけられます。

<参考>
日本経済新聞-司法試験は通ったけれど...修習生、就職・独立厳しく
鳥飼総合法律事務所-司法修習生の就活について思うこと

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