既卒の法科大学院生が就職を目指すには?
既卒の法科大学院生が就職を目指すには?
法科大学院はいうまでもなく、法曹の登竜門です。中でも「既卒」と呼ばれる法科大学院生は、大学時代から法学ひとすじ一筋で取り組んできたことから、法曹への憧れが強く、それ以外の就職先を選択肢から外しがちです。
しかし、これからの時代は組織の中に入り、ビジネスの当事者として法科大学院で学んできた法律的な素養を発揮することも意義があります。
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「既卒」の法科大学院生は、修了が1年短縮
従来の法曹は、法学部出身者に偏りすぎていました。しかし、もっと多様な人材をとり入れて、さまざまなものの見方や考え方、強みを持つ法曹が活躍してほしいと願い、法科大学院制度が導入されました。とはいえ、法学部ではアカデミックな要素に偏っているものの、法律の知識や解釈運用、議論の作法などを学んでいるので、法学部を出ていない人と比較すると、法律実務家の卵としてアドバンテージがあります。そこで、法科大学院の課程は2年間に短縮されます。既卒の法務博士が一般企業に就職するには?
法科大学院を修了したからといって、必ず司法試験を受けなければならないことはありません。法科大学院修了後、一般企業への就職を目指す法科大学院修了生も決して少なくないのです。
では、既卒の法科大学院生が就職活動を始めるにあたり、気を付けるべきことはどのようなことなのでしょうか。
法務博士に限ったことではありませんが、博士号取得者やポスドクが就職活動をしても、なかなか採用されないとの話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「博士」という学位そのものはすごいのですが、就職活動で履歴書の学歴欄に記載されているのをみると、企業の採用担当者はややためらいを感じてしまうこともあるようです。
その理由としては、「うちに入るにはもったいない」「博士を部下にしても、もてあましてしまうのでは」という思いから敬遠されることもあれば、「研究ばかりで職場にフィットできるか懸念がある」「年齢が高いものの就業経験が無く、即戦力にならなさそう」といった不安の声があるのも確かです。
法科大学院の既修者コースは2年間ですので、法務博士の名が付くとはいえ、実際には修士課程の修了に相当します。他の一般的な博士に比べると年齢も若いのです。
しかし、既卒となると「法律しか知らなさそう」「理屈っぽくて議論が多くなりがち」などといった消極的なイメージが先行してしまいがちな場合もあります。
そのような背景から、法務博士の学位があれば就職活動で有利と考えてしまうのはリスクがあるかもしれません。
採用担当者が既卒の法務博士に求めていること
法科大学院で磨き上げた法律知識やプレゼンテーション能力を持つ既卒の法科大学院生は、もちろん貴重な存在です。しかし、企業の多くの採用担当者が見ているのは、そこだけではありません。
「この人は、うちの組織にうまく溶けこんで、ちゃんとやっていけるのかどうか」という点こそが、採用担当者が注目していることなのです。
そのため、上記で述べたように学歴のみを武器にして就職活動を乗り切ろうとすると、難航してしまうかもしれません。そこで、「法務博士らしくない一面」をアピールすることを考えてみましょう。
もっとも、ギャップを見せれば何でもいいわけではありません。「会社という組織に馴染めそうな人材である」、「学歴の他にも武器がある」という面をアピールすることが重要です。
面接では、採用担当者に「この人はプライドが高い」と思われるような言動を避けましょう。多少圧迫的な質問を投げかけられても、動揺したり物怖じしたりせずに、素直に切り返すことが重要です。
既卒者に限った話ではないですが、就職活動時はどの学生も面接官から上からものをいわれると、感情が揺れてしまいやすくなります。
どのような質問が来るかをあらかじめ想定し、落ち着いて対応することで、チームで働く上での適応能力をアピールすることができます。
また、司法試験の再チャレンジを考えていない既卒者は、その旨を伝えることも重要です。採用する側としては、仮面浪人のような形でこっそり空き時間に司法試験の勉強をされるといい気分はしませんし、業務に支障が出るのではないかと心配してしまいます。
まとめ
既卒の法務博士が一般企業への就職を目指すとき、真っ先に思い浮かぶのが法務部への就職かもしれません。法務部は営業部門のように直接利益を生み出す部署ではないので、即戦力人材を求めることが多いですが、昨今の売り手市場の影響もあり、法科大学院修了生を積極的に採用する企業も昔と比較して増加してきています。しかし、法科大学院で培った知識や経験を活かせるのは、企業法務だけではありません。別の領域でリーガルマインドを発揮する道を歩むのも一つのキャリアと言えます。
諦めずに就職活動を続けると、あなたにとって良い進路が見えてくるはずです。
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