年齢と法務転職マーケットの考察

年齢と法務転職マーケットの考察

2011/09/01

企業は組織であり、組織が大きくなると部長・課長・係長・主任・スタッフという階層ができあがるのはご存知の通りですが、小さな組織であったとしても、上司-部下の関係や先輩-後輩の関係があります。

一般的には大なり小なりがありますが、上に行けば行くほど人数が少なく、下に行けば行くほど人数が多くなるという「ピラミッド」的な構造をしています。

今回は、法令では求人において年齢制限が禁止されているものの、実際に年齢が転職とどう関係するのかという点について、当社内のデータを用いて推測をして行きたいと思います。

 

ピラミッド的な構造と、年上の人間が年下の人間をマネジメントすることを前提とするならば、年齢が上がれば上がるほど一つの組織内で必要とされるポジションが少なくなり、転職活動においても選択肢が限られてくるということが言えます。

もちろん、年下の人間が年上の人間をマネジメントするということが受け入れられる風土であればこのような問題は存在せず、本来は年齢に関係なく各自が能力を発揮できる風土が社会的に望まれているのですが、現実では中々受け入れられていないと言えるでしょう。

しかし、法務部門や法務専任者は、経理や人事などといった他の管理系部門と比べると、企業の成長段階において後から必要となってくる部門であり、こういった法務部門の特徴がどのようなデータとして転職マーケットに現れるのかは注目すべきポイントです。

以下は2010年4月~2011年3月末までの一年間に、当社へご登録頂いた「企業内で法務実務経験を持つ転職希望者」の年齢別割合と、同時期に「当社の転職サポートサービスを介して転職を成功された方」の年齢別割合です。

20110901topics.PNGやはり、法務といえども年齢が高くなればなるほど、転職希望者数に対して決定者数の割合が少なくなり、厳しい転職活動を強いられてしまう現実が見て取れます。ただ、このデータから見て取れる点はそれでけではありません。注目すべきは20代と30代の差です。

ピラミッド型の組織を前提とするならば、転職の希望者や成功者も20代の人数が30代の人数を割合で上回ってもおかしくないのですが、大幅に逆転現象が起きています。

確かに、大学を卒業すると22~23歳、大学院修士を卒業すると24歳~25歳程度となる為、20代の社会人よりも30代の社会人の方が世の中に多くなるとは言えますが、とはいえ転職成功者の割合で30代が20代のおよそ2.7倍という大きな数値差を示している事実の裏側には、下記のような法務人材マーケットの現状があると言えます。

 

・総合職で新卒から法務に配属されるケースはさほど多くなく、いくつかの部門を経て法務に回ってくるケースもあり、法務の実務を積んでいる20代の社会人がそもそも世の中に少ない。

・20代のうちから法務に携わることができるのは、ある程度法務部門が出来上がって育成能力を持っている企業が多く、そういった企業の大半は雇用が安定しており、20代の法務実務経験者は転職マーケットに出てきにくい。

・成長著しいベンチャー企業等が初めての法務専任者を採用する場合は、経験の薄い法務人材よりも、ある程度経験を積んだミドルクラスの法務人材を採用する事が多い。

 

しかし、既に法務部門の組織が出来上がった企業では、若手の法務人材を補充して行きたいというニーズが依然として強く、人材マーケットにターゲットとなる人材が少ないことから、法科大学院修了生や司法試験合格者を採用したり、法律事務所から若手の経験弁護士を採用する企業も数多く表れ始めています。

優秀な法学部生が新卒で就職活動を行わずに法科大学院(ロースクール)へ進学してしまっていることで、企業にとっては新卒採用で満足の行く若手法務人材を採用しにくい状況となっていることも見逃せません。

とはいえ、まだまだ法曹領域の人材を受け入れる企業は一部の大手企業や有名企業に限られており、今後どこまで広がっていくのかは不透明な状況です。

 

また、昨今では経験を積んだシニア人材を部門のライン(部長・課長といった役職)とは別に嘱託社員や顧問として採用し、経験値の少ない法務部門の人材を補う採用も出てきています。

企業にとってのメリットは、安い賃金でハイスキル人材を採用することができ、シニア人材にとってのメリットは、上司の年齢とは関係なく雇用機会に巡り合えるという点です。

 

年齢の上層部と下層部で起きている人材マーケットの変化。

今後も引き続き注視していきたいと思います。

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