法科大学院から弁護士になるには何年かかるのか?法曹コースが生まれた背景

法科大学院から弁護士になるには何年かかるのか?法曹コースが生まれた背景

2019/10/18

法曹養成を目的としたプロフェッショナル・スクールである法科大学院と司法試験を改革するための関連法が、2019年6月に国会で可決されました。
新制度では司法試験の受験資格を最短5年で得られる「法曹コース」が創設され、2020年4月から施行されます。
将来的に法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)を目指したいという高校生の方、およびその保護者の方は、制度変更の内容を理解しておく必要があるでしょう。
今回は新たに導入されるこの法曹コースに注目し、現行制度からどう変わるのか、今後法科大学院生のキャリアはどう変わるのか、について詳しく解説していきます。


法科大学院は何年通うものか?

大学院は基本的に学部卒業者を入学対象としますが、この点は法科大学院においても同じです。
ただ、修了までに必要な年は、入学時までに必要な法律の知識を保有しているかどうかによって変わります。

・未修者コース(3年コース)
法科大学院の入学前に法律の学習の有無を問わないコースです。
法学部以外の学部を卒業した人向けのコースですが、出身学部は入学要件とはなってないので、法学部を卒業した人でも入学できます。
入学後は法学を基礎から学習するため、修了までの期間は3年と長いです。

・既修者コース(2年コース)
法科大学院の入学前に法律の学習をしている人を対象とするコースです。
入学試験時に「法律科目試験」を受ける必要があります。
法学部を卒業した人向けのコースといえますが、出身学部は入学要件とはなっていません。
そのため法学部を卒業していなくても、独学で法律を勉強して入学試験に合格すれば入学できます。

現行制度では法科大学院から弁護士になるまで「最短8年弱」

現在、法科大学院を経由して司法試験の受験資格を得るには、学部(法学部)で4年間学んだ後に法科大学院(既修者コース=2年)を修了し、それから司法試験に合格して司法講習(約1年)を受ける必要があります。
司法試験を初回の受験で合格した場合でも、現行制度では大学入学から弁護士になるまで最短で8年弱かかるのです。

「最短6年」法曹コース新設の背景

法科大学院は司法制度改革を目的として2004年度からスタートしましたが、入学志願者数は年々減少。
制度が創設された当初の入学志願者は7万2,800人でしたが、2018年度には8,058人(入学試験の競争倍率は約2倍)にまで減りました。
法科大学院離れが進んだ要因として指摘されているのが、法曹になるまでの長さです。
法科大学院を経由すると最短でも8年弱もかかり、その間の学費、学習費用の負担は決して小さくありません。
さらに2011年には、法科大学院を修了していなくても、合格により司法試験の受験資格を得られる「予備試験」の制度が導入され、法科大学院への入学希望者の減少に拍車がかかりました。
入学者が減っていくにつれて、国内では閉校に追い込まれる法科大学院が続出。
2019年度の春期に学生を募集した大学院は、制度開始時の半数以下となる36校にとどまっています。

そうした中で今年6月、国会で新たに可決された新制度が、冒頭で紹介した「法曹コース」です。
法曹コースでは、将来的に法科大学院に入学することを前提に、法学部を3年で卒業することができ、さらに法科大学院の在学中から司法試験に受験できるようになります。
そのため、現行制度では法曹資格取得まで最短で8年弱かかっていましたが、法曹コースでは最短約6年で済むのです。
法曹を志す人の経済的、時間的負担を軽くすることにより、法科大学院離れに歯止めをかけたいという狙いが、今回の新制度導入の背景にあります。

新制度によって変わる法科大学院生のキャリア

法曹コースの導入によって、高校卒業後すぐに法学部に入学すれば、最短で24~25歳までに法曹の専門家として就職することができます。
より若い年齢で収入を得られるので、20代でも経済的な余裕を持ちやすくなるでしょう。
実務経験もより早くから積めるので、スキルアップ、キャリアアップを図る上で、現行制度よりも有利になるといえます。
また、法曹コースでは法学部3年、法科大学院2年となるので、入学後に志望が変更して一般企業への就職を考えるようになった場合でも、従来の学部4年・法科大学院2年の場合よりも1年早く就職活動を行えます。
司法試験の合格者数自体は当面変わらない(1,500名程度)ので、新制度が導入されても法曹三者の就職状況そのものには大きな変化は期待できないでしょう。
それでも現行制度よりも1年早く就職できるという点は、自らを成長させる期間・機会がそれだけ増えることを意味します。

まとめ

近年、優秀な学生は費用のかかる法科大学院には進学せず、予備試験を突破して司法試験の受験資格を獲得する傾向が強まっています。
法科大学院の存在意義を高めたいのであれば、この予備試験コースのあり方についても再検討する必要があると考えられますが、6月に可決された司法制度改正はそこまで踏み込んだ内容とはなっていません。
ただ、「法曹コース」が導入されることで、高校卒業から最短6年で法曹資格を取得できます。
従来よりも学費負担は確実に減るので、経済的支援を行う親の立場からみても、新制度は望ましい内容といえるでしょう。

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