【コラム】企業法務にとって環境訴訟は加護できない問題か!?

【コラム】企業法務にとって環境訴訟は加護できない問題か!?

2015/01/26

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アスベスト訴訟に見る、環境訴訟に対する企業責任は・・・?

アスベスト(石綿)訴訟が全国各地で起こされている。アスベスト工場などで働いていた元労働者らが、国や企業を相手取り健康被害を訴えた。工場、作業現場ではアスベストを含め様々な危険物質に触れる可能性があり、労働者の安全を確保するため企業法務の役割が重要になっている。アスベストを吸い込むと肺がんなど、呼吸器疾患のリスクを高めてしまう。泉南アスベスト訴訟では第1陣と第2陣が国家賠償を求めて大阪地裁に提訴した。大阪地裁は第1、第2陣ともに国の責任を認めたが、上告審の大阪高裁では、第1陣については原告逆転敗訴、第2陣は再び国の責任を認める結果になった。

企業責任にも踏み込んでもらいましょう!

そして最高裁は、分かれて進められていた第1陣と第2陣の訴訟を統一して扱い、判決で国の賠償責任を認めた。一連のアスベスト訴訟において国の責任が初めて確定することになる。ただし、国の責任が問われたのは、工場における排気装置の設置義務を怠ったという点のみである。最高裁判決で国家賠償が認められたことを踏まえて、国は原告と和解する方針だ。もう一つ注目されていたのが九州建設アスベスト訴訟。福岡、長崎、大分、熊本4県の元建設作業員が国、建材メーカー42社に対し、総額11億1650万円の損害賠償を求めて提訴していた。福岡地裁は、防じんマスク着用の義務が遅れたのは違法と判断して、1億3688万円余の賠償を命じる判決を下した。

「一人親方」には企業法務が通用しない?

泉南訴訟の判決を受けて再び国の責任が認められた形だ。建材メーカーの責任については、各地の現場でアスベストを使っていたため、問題企業の特定は困難とした上で訴えを棄却した。原告団長の平元薫さん(70)は、「全員救済してほしかったし、企業責任にも踏み込んでもらいたかった。悔しい気持ちだ(読売新聞より)」と語る。原告側は判決を不服として控訴する方針だという。建設業者の中には、個人で仕事を請負う「一人親方」という立場の人たちがいる。「一人親方」は、人手不足が深刻な建設現場では必要不可欠な人材として活躍しているが、九州訴訟では労働基準法の労働者に該当しないとして請求が棄却された。「一人親方」は、訴訟の対象外として扱われた。

日本で最初のアスベスト裁判は1977年の長野じん肺訴訟。一審で企業責任が認められ、原告と企業との間で和解が成立している。過去のアスベスト訴訟を振り返ると、企業の責任を明確にしているケースが目立つ。公害・環境訴訟において企業が原因となる環境汚染は幾度となく糾弾されてきた。高度経済成長期に発生した四大公害(水俣病・第二水俣病・四日市ぜんそく・イタイイタイ病)はその幕開けとなった。周辺住民が巻き添えとなり、甚大な被害が生じている。四大公害を経て公害対策基本法が制定されることになる。大気汚染や土壌汚染の防止に十分な効果は得られたが、複雑化する環境問題に対応するため、その理念は1993年に制定された環境基本法に受け継がれた。

住民しかり労働者しかり、いつも健康被害に遭うのは名もない一般市民だ。原因をつくりだす企業の責任は極めて大きい。アスベストを吸引しても直ちに肺がんなどを発症するものではない。数十年もの時間をかけて病気は進行する。アスベストが付着した衣服で自宅に戻ると、アスベストによる2次被害が広がり、家族暴露の懸念もある。負の連鎖の始まりである。公害は一代限りで終息するとは限らず、次世代にも影響することを再認識したいものだ。

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