法務担当者が押さえておくべき資格一覧

更新日:2023/12/11
資格
法務
キャリア

法務担当者が押さえておくべき資格一覧

管理部門・士業の転職

法務への転職を考えている方、法務でキャリアアップしたいと思っている方の中には、何か資格を取ったほうが良いのではないかを考えている方もいると思います。 実際に、同じ管理部門の経理では、簿記を取ることで未経験でも転職が出来たり、年収が上がったりと資格が与える影響は大きく、多くの方が資格を取得しています。
では、法務における転職や年収・キャリアアップに役立つ資格にはどのようなものがあるのでしょうか。法務専門の転職エージェントがおすすめする資格6選を、難易度やメリットとともに紹介します。

まずは法務求人をご確認したい方はこちら

法務の求人情報

法務の求人情報

上場企業の法務担当やIPO準備企業の法務担当求人、法科大学院修了生歓迎求人など幅広くご用意しております。
サイト上に公開されている求人はごく一部の求人です。会員登録することでご確認可能です。

各法務資格の難易度

法務関連資格の難易度を図解しますと、下記のように整理できます。資格取得の際の参考としていただければ幸いです。

法務担当者が押さえておくべき資格一覧.jpg

※資格の難易度に関しましては、合格率、合格までに必要とされる期間、合格に必要とされる知識量の多さ等の観点から、総合的に判断させていただいております。

まずは転職エージェントに無料相談する

法務関連資格1:弁護士

法務関連の資格としては最高峰の国家資格であり、法務に関する業務全般を行う権限が認められる資格です。
合格率は25%程度、合格するには3年以上の期間がかかります。弁護士になるには、司法試験に合格したのち、司法研修所に入所し約1年間の司法修習を修了する必要があります。
司法試験の受験資格に関しては、法科大学院課程(原則3年間)を修了するか、司法試験予備試験に合格することにより得られます。
なお、受験可能な期間は、受験資格を取得した日の後の最初の4月1日から5年間となっています。
弁護士の職域は非常に広く、後述する司法書士や行政書士の業務に関しても、一定の条件の下で行うことが認められています。

また、近年は企業内で活躍する弁護士の方が増加しています。
日本組織内弁護士協会の調べによると、2023年6月末時点で3,184名の弁護士が企業内弁護士として就業しており、弁護士にとって代表的なキャリアパスとなりつつあります。
司法修習終了後に、法律事務所ではなく、そのまま企業に就職する司法修習生も増えており、弁護士資格は企業内において法務職としての就業を希望する方にとって、自身の能力をアピールする非常に強力な武器となります。

法務関連資格2:司法書士

不動産や法人の登記の代理及び供託の代理、裁判所や法務局などに提出する書類の作成権限を有する国家資格です。
また、一定の制限はありますが、簡易裁判所における民事訴訟、和解、調停等にて当事者を代理することができます。
合格率3%前後の難関資格であり、合格するには3,000時間程度(法律知識のない方の場合)の学習時間が必要となるため、数年単位での学習期間が必要となります。

司法書士の場合、就業先としては基本的に司法書士事務所が多く、企業で働く方はまだまだ多くはないようです。企業側としても、司法書士に対しては登記を行う専門家としてのイメージが強く、企業への転職にあたってはあまり評価されていないのが現状です。
しかし、要求される法律知識の専門性や、対応可能な業務内容の広さを考えると、企業への転職にあたってもっと評価されてしかるべき資格であると思います。

まずは転職エージェントに無料相談する

法務関連資格3:行政書士

役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等を行うことのできる国家資格です。
合格率10%以下の難関資格であり、働きながら資格を取得される場合、1年以上の学習期間が必要となります。
ただし、行政書士の場合、基本的には開業して働くという選択肢がメインとなります。
行政書士事務所に関しては、人手が足りていることが多いため、あまり採用ニーズがありません。また、企業に関しても、行政書士資格を有しているからと言ってそれが高い評価に結び付くことは少なく、実務経験の有無の方がより重視される傾向にあります。

まずは転職エージェントに無料相談する

法務関連資格4:ビジネス実務法務検定

ビジネスを行う上で不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識をバランスよく効率的に身につけることを目的とした検定試験です。
初級レベルの3級、中級レベルの2級、上級レベルの1級の3つの級があります。
3級の合格率は70~80%前後、2級の合格率は20~40%前後、1級の合格率は10%程度となっています。問題形式に関しては、3級及び2級に関してはマークシート方式、1級に関しては論文式となっております。
1級を受験するためには、2級の合格が必要です。
3級合格には3ヶ月程度、2級合格には半年程度、1級合格には1年以上の学習期間が必要となってきます。

法務関連資格の中でも知名度の高い資格であり、人事異動や採用の際の能力評価の参考にする企業も増えています。
法務実務経験のない方でも、2級以上の資格をお持ちであれば、転職や就職の際に企業へのアピールにつながる資格であるといえます。

まずは転職エージェントに無料相談する

法務関連資格5:ビジネスコンプライアンス検定

健全な企業活動を推進するために必要となるコンプライアンス経営およびビジネスパーソンとしてのコンプライアンス行動について、その理念と目的の理解度、価値判断基準、および個々のビジネスシーンにおける対応能力を身につけることを目的とした検定試験です。
初級試験と上級試験があり、初級試験の合格率は40%程度、上級試験の合格率は25%程度です。取得に必要な学習期間は、初級で1~2ヶ月程度、上級で2~3ヶ月程度です。
短い学習期間で取得できる資格ですが、ビジネスマンであれば本来誰でも知っておかなければならない知識を身につけることが出来るため、挑戦する価値のある資格であるといえます。
逆に、同試験で問われるような知識をお持ちでない場合、コンプライアンス違反に該当する行動をとってしまう危険性も高いため注意が必要です。
同資格に関しては、転職や就職の際に有利に評価していただける企業も増えております。

まずは転職エージェントに無料相談する

法務関連資格6:個人情報保護士

2005年の個人情報保護法施行に伴い設けられた民間資格であり、個人情報の適切な管理や運用方法を身につけることを目的としています。
合格率35~40%程度の資格であり、合格には1~2ヶ月程度の学習期間が必要となります。
個人情報の大規模漏えい事件等の影響もあり、社会的にも注目されている資格となっています。
個人情報保護に関する社員教育の一環として社員の団体受験を実施している企業も増えており、企業側の認知度も高くなっています。
資格取得者に対する企業側の評価も高いため、転職や就職の際にも武器となる資格であるといえます。

資格を持っていることで転職活動を有利に進められるのか

司法書士、行政書士、特に弁護士資格といったメジャーな資格であれば保有していれば一定の高評価を受けるのは間違いありません。

しかし、資格を持っているからといって、それだけで転職市場を有利に進めるのは難しいといえます。資格を持っていることに加えて、その資格を活かして具体的にどのような実績、スキルを持っているのかが重要です。
業務経験があってこそ、資格が評価されるという側面もあります。

そのため資格を持っている人が転職活動を進める場合、これまでの実務で何をやってきたのか、資格を持っていることでどのような業務に取り組み、評価されたのかを事前にまとめておきましょう。

なお、自分の経歴をまとめる際は、実際にメモ帳などの用紙に手書きで書く、あるいはスマホやPCで文字化するなどの棚卸しを事前に行うことが大事です。
いきなり履歴書や職務経歴書に書きはじめる、あるいは面接の直前になってから思い出すといったことでは、正確なアピールができないこともあります。
自分の頭を整理するという意味でも、時間をとってきちんと自分の経歴をまとめる作業を行いましょう。

どのようなスキルが評価されるのか

どのようなスキルが評価されるのか

転職活動の際、資格に加えて保有していると評価されるのはどのようなスキルでしょうか?
以下では、実務経験、法律知識、語学スキル、法律を活用したビジネスを推進する力、について取り上げて説明します。

実務経験

企業の法務部門では、契約・取引法務、機関法務・組織法務、コンプライアンス・社内規程の策定などの業務を行います。

契約・取引法務は売買契約など企業が締結する諸契約について、民法・商法・借地借家法・割賦販売法など契約関連の法律を踏まえた上で、契約書の作成・審査を行う業務です。
幅広い分野の法律知識が要求されます。

機関法務・組織法務は、株主総会や取締役会といった企業の機関や組織が法律に則って行われるようにチェックする業務です。
株式発行や子会社設立などに関わる業務も含まれます。

コンプライアンス・社内規程の策定は、コンプライアンスの従業員への徹底、社内規程の整備・作成などを行う業務です。
こちらは社内研修の実施や、従業員を対象とする相談窓口業務なども含まれます。

これら法務部門の実務経験が豊富な人ほど、即戦力としての期待値が高まり、転職市場で高評価を受けやすいです。

法律知識

法務は企業の法的な対応を担当する部署ですので、業種業態を問わず法律の知識が必要です。
法務が理解しておくべき法律としては、民法、商法・会社法、労働法、独占禁止法などがあります。

企業法務の重要な仕事の一つが、企業が取引先と締結する各種契約の書類チェック、修正です。
その際、民法の総則、物権、債権などに関する基本知識を持っていると、企業間の利害調整を行う場合に活かせます。
民法は企業法務担当者が保有しておくべき最低限の法律知識です。

また、企業経営を法的にサポートする法務担当者として、商法・会社法の知識も欠かせません。特に株式会社の場合、株主総会や取締役会に関する規定、株式発行による資金調達に関する規定などを含む会社法に関する知識は不可欠といえます。

労働法に関する知識も、コンプライアンスへの意識が高まっている現在、法務担当者に求められる事項の一つです。

従業員の待遇に関する決定は人事・労務部門が担当しますが、人事・労務部はあくまで所定の法律のもとで業務を遂行する役割を担います。
一方、法律そのものを理解し、法に則っているかどうかをチェック・審査するのが法務部門です。
そのため、法務担当者には法律に関する最新の正確な知識が必要になってきます。

さらに、企業の事業活動が公正な競争を阻害する恐れがないかをチェックするために、独占禁止法に関する知識も必要です。
独占禁止法を違反するような事態が起こればマスコミにも報道され、企業の対外イメージの悪化にも直結します。
自社が活動する事業分野で法に抵触するような事態が起こっていないかを、確認できる法律知識が求められます。

語学スキル

法務部門を設けていることが多いグローバル企業では、法務部員に英語力も求められます。
新卒の場合であれば働きながら語学スキルを磨いていくということも許容されるかもしれません。
しかし転職市場では即戦力としての経験が求められやすいため、採用の時点で一定の英語力を求められるのが一般的です。

ネイティブな英語ではなくても、相手の話す英語を理解できる、自分の言いたいことを相手に伝えることができる、といったことができれば問題ありません。

法律を活用したビジネスを推進する力

近年、デジタル技術の進歩にともない、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現に向けて企業のビジネスモデルも大きく変わりつつあります。
デジタル技術に関する法的な問題の理解は、法務担当者に求められている重要な知識です。

また、情報のデジタル化によって企業は「ビッグデータ」を扱えるようになり、保有する大量の個人情報を活かした新たなビジネスチャンスを模索できるようになりました。
しかしその一方で、個人情報流出などの新たなリスクを抱えるようになってもいます。
そのため個人情報の取り扱いに関する法知識・実務経験を保有していることも、法務部門の人材には必要です。

まずは転職エージェントに無料相談する

まとめ

法務の専門職として転職活動を有利に進めるためには、やはり目に見える形で能力・知識を有することを示せる資格を持っていることが有効です。
例えば弁護士、司法書士、ビジネス実務法務検定、ビジネスコンプライアンス検定、個人情報保護士などの資格は、保有していると高く評価される傾向があります。

しかし、資格だけ持っていれば転職に成功するというわけではありません。
実務経験、幅広い法律知識、語学スキル、法律を活用してビジネスを推進する力を有するかどうかも重要です。

実際に転職活動を行う際は、保有している資格・取得を目指している資格に加えて、これまでの実務経験とそこで身に付けたスキル・知識も自身のアピールにつながることを理解しておきましょう。

【関連ページ】
【法務の転職情報】まとめページ
法務の転職は難しい?未経験はできない?事例や成功するコツを解説
法務の転職市場を徹底解説!過去データから動向を把握して有利に転職を進めよう
【弁護士の転職】転職エージェントの選び方・使い方、求人例など
法務の志望動機【例文付】未経験者・経験者別ポイントやNG例など
40代法務の転職市場は?年収や求められるスキル、転職成功のコツなど
法務としてのキャリア形成とは?法律知識に加え大切なもの
【法務の仕事紹介!】9つの具体的な仕事内容から分かる法務に必要なスキルも紹介!
未経験で法務に転職は無理なのか?転職に有利なスキルや未経験OKのおすすめ求人も紹介!
法務の転職における自己PRの例文とポイント(経験者、未経験者)
大手企業の法務職に転職したい!大手企業が欲しがる法務人材とは?
法務部の書類作成のポイントとは?
プライバシー侵害の判断基準とは?
法務部立ち上げポジションの採用とは?
企業法務ってどんな仕事?資格やキャリア等、転職方法も紹介!
行政書士は企業法務に転職できない?資格の活かし方や求人例など
弁護士の転職は時期が重要?転職のプロが教えるおすすめの転職時期を紹介!
契約法務とは?業務内容や役割、転職で評価されるのかを解説
【ビジネス実務法務検定1級】最新合格率や行政書士・司法書士と比較した難易度など
【管理部門413名に聞いた長期休暇の実態調査】2023年度ゴールデンウィークの取得状況は?
あなたのおすすめ求人

管理部門・士業業界最大級の求人数と職種・転職に精通したアドバイザーが転職をサポート。ご要望に応じた転職先をご提案いたします。

管理部門・士業業界最大級の求人数!
職種・転職に精通したアドバイザーがご相談から入社までサポートいたします。
完全無料!登録1分!転職支援サービスに申し込む

関連おすすめ記事

管理部門・士業業界最大級の求人数!
職種・転職に精通したアドバイザーがご相談から入社までサポートいたします。
完全無料!登録1分!転職支援サービスに申し込む