弁護士がMBAを取得することは有効なのか?
現役の弁護士がMBAを取得する例が、徐々に増えています。MBAは、Master of Business Administrationの略称で、アメリカ合衆国の高等教育機関が発祥となっているビジネススクールを修了した学位を意味します。日本語訳は「経営学修士」が一般的です。既に弁護士資格を持っている人々が、大学院に通ってMBAを取得する背景には何があるのでしょうか。
MBAとは
もともと、研究者を養成する過程ではなく、大学院の外で起業家や企業役員などビジネスのプロフェッショナルを輩出するものとして進化を続けてきました。
修士課程ですので、2年で修了するのが一般的ですが、2年未満で修了できるコースや、平日夜間や休日などに通信コースなど、社会人として働きながらでも取得できるMBAも増えています。
国内でのMBAコースも多く設置されています。その中には、2003年に始まった「専門職大学院」制度に沿って開設された日本発祥のMBAコースもあれば、海外の大学院におけるMBAコースが日本向けに開設してある例もあります。また語学能力も同時にアピールすることが可能ということで、海外留学によるMBA取得を行う人も少なくありません。
弁護士がMBAを取得するメリットとは
弁護士でMBAを取得する例は、少なくとも日本国内ではかなり珍しい部類に入るため、他弁護士との差別化が図れます。
2000年代の司法制度改革によって弁護士大増員政策が採られる前は、弁護士という資格を保有すること自体に希少性がありました。よって、弁護士を名乗ることだけで依頼が寄せられましたし、経営現場の最前線にいるビジネスパーソンや起業家からも、「法の専門家」として一定以上の敬意が払われていました。
しかし、2000年以降、弁護士の人数そのものが急増し、しかも都市部に弁護士人口が集中している傾向がますます強まっています。少なくとも東京・大阪・名古屋を中心とした各大都市圏においては、弁護士であること自体が十分なアピールとなりうる効果が薄れつつあるのです。
また、大都市圏では企業の本社・本部が多く設置されていることもあり、企業相手の顧問契約をいくつも結ぶことによって、高額単価の安定収入を確保でき、事務所経営を安定させられます。そして、企業法務を中心とした法律事務所でアソシエイトやパートナーとして所属する弁護士も、高収入が約束されることが多いです。この点は、大都市圏で弁護士として働く上での強みといえます。
ただ、弁護士は、会社法や民法、知的財産法、労働法、危機管理などのビジネス関連法の知識は豊富かもしれませんが、ビジネスそのものに関連する基礎知識やアイデア、課題克服の経験などについては疎いのです。
多くの企業法務弁護士にとって、契約書チェックや不祥事対応など、ビジネスの「守りを固める」アドバイスは可能かもしれません。しかし、ビジネスマンに必須の新たなビジネスモデルのアイデアを出したり、まず行動を起こして「走りながら考える」スピード感を共有することなどは、苦手としている弁護士が多いのです。
そこで、MBAを取得することで、経営に生きる人々の共通言語を深いレベルで理解している弁護士は、多くの経営者と対等な立場で話すことができますので、クライアント企業にとっても貴重な存在になれるはずです。法曹界における希少性を高められれば、顧問報酬のフィーも高く設定でき、仕事の効率性やブランディング価値まで向上する可能性があります。
経営課題にも応えられる弁護士は、強い
弁護士がMBAを取得していれば、法的な問題だけでなく、経営上の課題や悩みにも寄り添うことができますので、経営面と法律面を融合させた総合的なコンサルティングを行える可能性が高まります。
法律知識は、ビジネスなどの社会的活動を行うにあたって、無用なトラブルをあらかじめ回避する目的には有用です。仮にトラブルが起きても自らにとって無用に不利な状況へもっていかないよう、「防御」を固めるために必要なものです。
ただ、防御を固めることが本質的に好きなビジネスパーソンは、それほど多くありません。経営的に攻めていき、黒字化して軌道に乗せていく場面のほうが、ワクワクして話してくれる経営者のほうが多いですし、そのような話を対等にキャッチボールできる相手とは、やがて意気投合するでしょう。
MBAで付加価値を提供しよう!
対外的には強気で派手な言動を続けていたり、表面的には誰とでも心を開いて社交的に見える社長も、その陰では経営上の決断で人知れず深い悩みを抱えていたり、従業員が休んでいる時間帯にも地道な努力を重ねていたりするものです。
このように、法律上の問題でなく、経営上の課題にも応えられる弁護士は希少価値が高いだけでなく、経営者にとっての潜在的需要も高いといえます。そのために、MBA学位で弁護士資格を付加することで、財界での社会的価値も引き上がります。 多くの経営者の心を掴み、固い扉をこじあけて、信頼を引き寄せられる鍵のひとつが、MBA学位だといえるでしょう。
まとめ
従来の企業法務系弁護士は、「経営の現場を知らない」としても、それだけでないがしろにされることはありませんでした。ただ、それは弁護士の人口そのものが少なかったからです。弁護士自体の存在は珍しくない現代で、企業法務をメインに行うなら、付加価値を増すためにMBAを取得することも有効な選択肢です。夜間コースや通信コースを選択すれば、弁護士として稼働しながら、空き時間で取得を目指すことも十分に可能です。
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