弁護士の悲惨な現実…年収200万円も

弁護士の悲惨な現実…年収200万円も

2019/12/24

「苦労して弁護士登録したのはいいけれど、現実には年収があまりに低い・・・」
そのように悩む弁護士が近年、増加しています。
年収が数千万円の弁護士がいる一方で、年収200万円未満の弁護士もいる状況です。
この記事では、弁護士の年収についての「悲惨」ともいえる現実について見ていきましょう。


1.弁護士の年収200~300万円という現実

はじめに、弁護士の年収および所得についてのデータから見ていきましょう。
下のグラフは、日本弁護士連合会が2018年3月~5月に行った弁護士実勢調査における、年収の分布についての統計です。
日弁連会員の弁護士40,076人全員にアンケートを送付し、うち2,864件、7.15%の有効回答が得られたものです。

弁護士の年収分布

このグラフを見ると、「年収200万円未満」の弁護士が「2.7%」となっています。
これは回答者が60期第の若手が多かったことが影響していると考えられますが、中には売上が少ない一般民事系事務所に所属する中堅クラスの弁護士もいるようです。

次に、弁護士の所得についても見てみましょう。

弁護士は、開業している場合はもちろん、法律事務所に所属していても「個人事業主」であることが多くなります。
個人事業主の場合には、年収から必要経費を差し引いたものが「所得」となります。
弁護士実勢調査の統計から所得についての分布を見ると、下のグラフのようになります。

「200万円未満」が5.1%、さらに、「0円以下」が3.5%となっています。
所得が200万円である場合、単純計算すると月収16万6,000円です。
また、このアンケートの回答者においては、所得が200万円~500万円未満の弁護士は「23.1%」で、最も人数が多い年収帯になっています。
弁護士は高年収といったイメージがありますが、現実は、所得格差が著しいことがわかります。


2.なぜ弁護士の年収が下がっているのか?

なぜ弁護士の年収が下がっているのでしょうか?
その理由として、

  • 増え続ける弁護士数
  • 事件数が増えない現実
の2点をあげることができます。

2-1.増え続ける弁護士数

弁護士の人数は、近年になって激増しています。
下のグラフは、日本弁護士連合会の調査による弁護士数の推移です。

弁護士数の推移

1950年には6,000人ほどだった弁護士の人口は、1960年ごろから上昇をはじめます。
上昇率は、2000年くらいまではゆるやかだったものが、2007年から急激な上昇に変化します。
2007年から弁護士が急増したのは、司法制度改革が行われ、2006年に新司法試験制度が導入されたことが理由です。

下のグラフは、弁護士登録者数の推移です。

弁護士登録者数の推移

弁護士の登録者数は、かつては年間500人程度でした。
ところが、1990年代半ばから増加の傾向となり、2007年には一気に増えて2,000人を突破します。
これは、新司法試験制度が導入されたことにより、司法試験の合格者が大幅に増えたからです。

司法試験の合格者数は、近年では落ち着きを取りもどし、毎年1,500人程度となっています。
日本弁護士連合会でも、今後は1,500人程度を継続していくだろうと予測しています。
しかし、そうであったとしても、弁護士の人口は増え続け、2040年には6万人を超える見込みです。

2-2.事件数が増えない現実

上で見たように、弁護士の数は以前とくらべて大幅に増えています。
ところが、弁護士が必要とされる案件の数は、近年ほとんど増えていないことが現実です。

下のグラフは、民事訴訟事件数の推移です。

民事訴訟事件数の推移

このグラフを見ると分かるとおり、民事訴訟事件数は2009年に一時上昇したものの、その後は下落し、近年は横ばいとなっています。

以上のように、弁護士が増え続けているにもかかわらず、弁護士の需要が生み出される事件数は横ばいです。
そのために、弁護士の市場は近年、「パイの奪い合い」になっているといえるでしょう。

3.弁護士として年収を上げる方法

それでは、弁護士として年収を上げていくためにはどうすればいいのでしょうか?
それには、

  1. 企業法務案件を取り扱っている法律事務所で働く
  2. 一般事業会社の法務部でインハウスローヤーとして働く
  3. 専門分野を作り差別化を図る

などの方法が考えられます。

1.企業法務案件を取り扱っている法律事務所で働く

一般的に企業法務案件を取り扱っている法律事務所の方が、安定して売上を立てています。
上述の通り、弁護士の人数に対して、訴訟案件が減少から横ばいの状態では一般民事領域で売上を伸ばし、年収を高めていくことは非常に困難です。
一般民事案件と企業案件の両方を扱っている総合系や企業案件専門の法律事務所で働くことで、年収を高めていくことが出来ます。

2.一般事業会社の法務部でインハウスローヤーとして働く

法律事務所は安定して売上が立っているところと、そうでないところの格差が広がっています。
一方で、一般事業会社は総じて人員不足の状態があり、特に専門知識を有する法務部門では弁護士有資格者をインハウスローヤーとして採用するニーズが高まっています。
数千万円の年収をえることは難しいですが、インハウスローヤーを採用する企業の多くが、上場企業や成長途上のベンチャー企業であることを考えると、日本人の平均年収以上の収入を期待することができます。

3.専門分野を作り差別化を図る

法律事務所にせよ、一般事業会社の法務部門にせよ、専門分野を持っていることは年収を高めていく上で有利です。
専門性を身に着ける際に、経験する業務や案件差別化を図ることもできますが、ビジネスと関連性が高い弁護士の仕事は、業界・業種について専門性を高め、差別化を図ることができます。
また、大規模な組織で経験を積者か、小規模な組織で経験を積むのかでも差別化が図れます。

まずは、自分自身の現時点での経験を客観的に評価すること、そして、どのような将来像を希望するのかを明確にすることが大切です。

4.まとめ

弁護士の数が増えても事件数が増えないために、弁護士の多くが低年収に苦しんでいることが近年の現実です。
以前のように、弁護士になりさえすれば高年収が約束された時代はとうに過ぎ去ってしまいました。
これからの弁護士が高年収を得るためには、大手法律事務所で上り詰める、あるいは専門分野に特化するなど、プラスαの能力が鍵となるでしょう。

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<参考>
日本弁護士連合会『弁護士白書 2018年版 近年の弁護士の実勢について』
日本弁護士連合会『弁護士白書 2018年版 弁護士人口』
日本弁護士連合会『弁護士白書 2018年版 年度別弁護士登録者数とその内訳』
弁護士連合会『弁護士白書 2018年版 弁護士人口の将来予測』
日本弁護士連合会『弁護士白書 2018年版 民事事件等に関する活動』

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