弁護士と弁理士の違いは?なぜ字面が似ているの!?

弁護士と弁理士の違いは?なぜ字面が似ているの!?

2019/09/05

 【コラム】弁護士と弁理士。仕事の違いは何?

弁護士と弁理士は、法律を扱う国家資格で、字面もよく似ています。
実際に両方の資格を登録している人もいますが、それぞれ業務内容や役割は違います。
今回は、弁護士と弁理士の業務の違いやそれぞれの資格取得について解説します。


弁護士とは

弁護士は、訴訟事件その他についての法律事務を行います。
訴訟事件には、離婚や相続、交通事故、お金の問題、特許権の侵害など知的財産権の問題などを扱う民事事件と、殺人・傷害や詐欺などの刑事事件とがあります。
そのほかに、個人や企業を相手とした訴訟に至る前の交渉なども弁護士の業務です。

弁護士の登録者数は、2018年現在で約4万人です。
弁護士の多くは弁護士事務所を経営、あるいは弁護士事務所に勤務していますが、近年では、企業や官公庁に勤務する「インハウスローヤー」が急速に増えています。
法律が専門分野である弁護士は、法学部の出身者が多いですが、法学部以外の出身者も1~2割に上ります。
弁護士資格を取得するためには、司法試験に合格しなければなりません。
司法試験を受験するためには、法科大学院の修了または予備試験の合格が必要です。

弁理士とは

弁理士は、発明、考案、デザイン(意匠)、商品やサービスの名前・マーク(商標)等に関する権利について、特許庁に特許権・実用新案権・意匠権・商標権として登録するための手続の代行、またそれらの知的財産権に関する審判請求や異議申立て等の手続の代行が主な仕事です。

弁理士登録者は約1万人であり、弁護士の約4分の1程度です。
多くが特許事務所や特許法人で働いていますが、近年、弁護士と同じく企業内弁理士も増えてきています。
弁理士が取り扱う案件は、理系分野の専門知識が必要になることが多く、弁理士の8割強が理工系学部出身者です。
文系出身者は、商標や意匠の分野を担当する人が多いです。

弁理士資格を取得するためには、次の3つのいずれかに該当し、実務修習を修了する必要があります。
①弁理士試験に合格する
②弁護士の資格者
③特許庁の審判官又は審査官として7年以上の審判又は審査の事務に従事した者

弁護士と弁理士のすみ分け 知的財産権の手続きと訴訟の手続き

特許分野の争いは、最終的には裁判所における訴訟の手続となりますが(特許権侵害訴訟や特許無効確認訴訟などが代表的です)、この訴訟手続は弁護士法で弁護士にしか認められていません。

このように弁理士は特許庁における知識財産権の手続のスペシャリスト、弁護士は訴訟や裁判等の紛争のスペシャリストという大まかなすみ分けがなされていますが、「審判の請求」や「審決取消訴訟」など、弁理士が対応できる訴訟業務もあります。
現在、特許法人や特許事務所でも積極的に訴訟分野に参入するために、弁護士を雇うところも増えてきました。

弁護士と弁理士、なぜ字面が似ているのか?

弁理士でない者が、特許庁における手続代理等を行うと「非弁行為」として刑罰の対象になります。
弁護士でない者が法律事務を行う「非弁行為」と全く同じでややこしいですが、特にそれらについて別の言葉を用いる必要もないのでしょう。
そもそも「弁護する」という日本語はありますが「弁理する」という日本語はないように思います。
「弁理士」の語源については、必ずしも明らかではありません。

私が勝手に想像するに、弁理士は、発明内容を分析・構成して特許明細書等で理由付けを行う際に、「理」系分野である自然法則を「理」解して、それらを極めて高度な論「理」的思考能力によって構成する力が求められることから、このような名前が付けられたのではないかと思います。
まさに「理(ことわり)を弁える士業」です。

逆に弁護士業務では、必ずしも論理や自然法則だけではなく、人情や感情、社会情勢・時代背景といったウエットな要素も多く占めることから、『人や組織を「護」ることを「弁」える士業』と考えると、少ししっくりするかもしれません。

弁護士・弁理士になるためには?

弁護士あるいは弁理士になるためには、それぞれ資格を取得しなくてはなりません。
弁護士資格および弁理士資格を取得するための進路を見てみましょう。

弁護士になるための進路

弁護士になるためには、司法試験に合格しなければなりません。
司法試験は、資格試験のなかで「最難関」といわれており、2018年の合格率は29.1%です。
司法試験を受けるためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格するかのどちらかが必要です。
司法試験の合格後は、1年間の司法修習を受けた後に、弁護士資格が得られます。

法科大学院を修了する
法科大学院は、法曹として求められる深い学識および卓越した能力を培うことを目的として2004年に創設され、2018年現在、全国に43校があります。
少人数で密度が濃い授業を基本としています。
授業の内容は、憲法や民法・刑法などの法理論のほか、法律相談や事件の解決などを事例に即して学ぶなど、実務を強く意識したものとなっているのが特徴です。
法科大学院には、法学未習者のための3年コースと、法学既習者のための2年コースとがあります。

・法学未習者コース(3年)
法学未習者コースでは、法学部で法律を学んでいないことを前提に、憲法、行政法、刑事法、民事法、および商法の法律基本科目をしっかりと学ぶことからスタートします。

・法学既習者コース(2年)
法学既習者コースは、法律基本科目をすでに学んでいる人が進みます。入学するには、法科大学院が実施する法律基本科目試験に合格しなくてはなりません。

法科大学院を修了すると、翌年の司法試験を受験することができます。


予備試験に合格する
司法試験予備試験は、法科大学院を修了した人と同等の学識・能力および実務の基礎的素養があるかどうかを判定するための試験です。

・1次試験:短答式試験(5月に実施)
法律基本科目と一般教養科目についてマークシート方式で解答する。

・2次試験:論文式試験(7月に実施)
法律基本科目と一般教養科目、および法律実務基礎科目について、論文方式で解答する。

・3次試験:口述試験(10月に実施)
法律実務基礎科目について、口頭で解答する。

3次試験まであり、それぞれを合格した人が次の試験を受験することができます。
予備試験の合格率は毎年4%程度で、司法試験よりも狭き門となっています。

弁理士になるための進路

弁理士になるためには、次の3つのいずれかを満たすことが必要です。

1.弁理士試験に合格する
2.司法試験に合格する
3.特許庁で審判・審査に7年以上従事する

したがって、司法試験に合格すれば、弁護士と弁理士の両方の資格を得ることができます。
以下では、弁理士試験の概要について見てみましょう

弁理士試験について
弁理士試験の受験資格はありません。したがって、学歴や年齢、国籍に関わらず、誰でも受験することができます。

・1次試験:短答式試験(5月に実施)
弁理士活動を行うにあたって必要な基礎的知識および法条の解釈・理解を問う。

・2次試験:論文式試験(10月中旬~下旬に実施)
弁理士活動を行うにあたって必要とされる法条の解釈および理解力・判断力・論理的展開力・文章表現力などの総合思考力を問う。

・3次試験:口述試験(10月下旬~11月上旬に実施)
総合的思考力にもとづく口述による説明力を問う。

3次試験まであり、それぞれを合格した人が次の試験を受験することができます。
2018年において、弁理士試験の実施状況は次のようになっています。

・受験者数:3,587人
・合格者数:260人
・合格率:7.2%

合格者は、最年少が20歳、最年長は63歳。職業は、会社員52.7%、特許事務所31.5%で、理工系学部の出身者が82.3%です。

まとめ

弁護士と弁理士の違いは?なぜ字面が似ているの!?

以上のように、弁理士と弁護士の違いとは、弁理士が知的財産権についての手続きのスペシャリスト、弁護士が訴訟のスペシャリストと、棲み分けがされています。
しかし、近年、知的財産権についての訴訟も数多くなっています。
もし、知的財産権の分野に広く携わりたいと思う場合は、理工系の大学を卒業したうえで司法試験を受験して、弁護士と弁理士のダブルライセンスを取得するのが良いでしょう。

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<参考>
日弁連『弁護士人口』
日弁連『司法試験合格者の状況』
文部科学省『法科大学院制度について』
法務省『司法試験予備試験の概要』
工業所有権審議会『弁理士試験の具体的実施方法について』
日本弁理士会『弁理士になるには』
特許庁『弁理士試験の実施状況』
最高裁判所事務総局行政局『日本における知的財産権関連訴訟の現状』
日本弁理士会『争訟』

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